技術職の上司に期待することのコメント例文~部下が上司を評価するには?

「社内アンケート」や「360度評価」といった、多様な立場の従業員が評価に参加する取り組みが注目されています。上司が部下を評価する一方的な人事評価と違い、視点が多面的になり、より公平かつ客観的な評価の実現につながるからです。

ただ、いざ実施すると「どう書いたらいいのか分からない」「相手を不快にさせないだろうか」「コメント欄は空白ばかり」など、様々な不安や問題が生じます。部下が上司を評価する場合は、なおさらでしょう。

本記事の運営メディアソシキビトでは、そのような不安や問題を解消するコメント例文を紹介しています。今回は、その2回目。技術職の「部下が上司に期待すること」のコメント例文を紹介します評価コメントの記述に悩んでいる技術者の方、効果的なコメントが集まらず困っている担当者の方は、ぜひ参考にしてください

▼本記事で得られる情報

・部下が上司を評価する環境について
・技術職の部下が上司を評価する際の注意点とポイント
・「技術職の上司に期待すること」のコメント例文

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この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

部下が上司を評価するには?

前回の記事、『営業職“部下が上司を評価”するには?「上司に期待すること」のコメント例文』では、 部下が上司を評価する手法や機会について解説しました。 今回は、その記事でも触れた、部下が上司を評価する際に欠かすことのできない「心理的安全性」の重要性について解説しましょう。  

心理的安全性の重要性

心理的安全性とは、組織の中で仕事や人間関係への影響を気にすることなく、自分の意見や考え方を言葉にできる状態のことです。立場や年齢に関係なく、全ての従業員の発言を受容し、従業員の成長や組織の活性化を目指すことができる環境を指します

心理的安全性を担保することは、部下が上司を評価する上で極めて重要な要素になります。なぜなら、心理的安全性が低い環境では、「誰の評価かバレないだろうか」「厳しい評価をして人間関係が悪化するのが怖い」といったバイアスが働くからです。忖度報復評価が生じる恐れもあります。

これでは、評価の意味がなくなってしまいます。こういったバイアスを払拭するためにも、心理的安全性の高い環境を作る必要があるのです。

心理的安全性が注目される背景

心理的安全性が注目されるようになった背景には、Googleのプロジェクトである「プロジェクトアリストテレス」の存在があります。Googleは、企業向けリサーチ「プロジェクトアリストテレス」において、生産性向上に関する調査研究を行いました。

そこで効果性が高いチームにとって圧倒的に重要なのが心理的安全性である」ことが分かり、その詳細を情報サイト「re:Work」の「効果的なチームとは何かを知る」で公開しています。こうして、心理的安全性は一躍注目を集めるようになりました。

心理的安全性は「風通しの良いチーム」にとって必要不可欠。心理的安全性を確保することは、部下が上司を評価する環境作りにとって、欠かせない取り組みといえるのです。 

関連記事:心理的安全性の作り方

技術職の部下が上司にコメントする際の注意点

技術職の部下が上司にコメントする際の注意点は、スキルや能力ばかりに焦点をあてないことです。技術職の場合、どうしても技術にばかり目がいってしまいます。しかし、最も意識しなければならないのは、技術的なスキルや能力を「なぜ持っているのか」「どう活かしているのか」ということです。

習得した新しい技術を開発に活かし、社内や顧客に展開・提案する姿勢、そして今後を見据え後進にスキルをシェアする指導力にも焦点をあてコメントすることが大切です。

技術職の部下が上司にコメントする際のポイント

技術職の部下が上司にコメントする際、意識すべきポイントを解説します。

【コメントの際に意識すべきポイント】

・継続的なスキルアップ
・開発ツールの活用状況
・新しい技術の開発・提案
・後進に対するスキルの指導

このような、部分を意識してコメントすることが重要です。表面的なスキルばかりではなく、スキルアップに対する意欲やスキルの活かし方に焦点をあてコメントするようにしましょう。

関連記事:相手が納得感を感じるコメントを書くポイント

技術職「部下が上司に期待すること」のコメント例文

では、技術職の部下が上司に対して「期待すること」をコメントする際の具体的な例文を紹介します。

進め方や納期管理に関するコメントの例

今でも素晴らしいスキルをお持ちですが、新しい技術の習得に関しても率先して取り組んでおられます。私たちも負けずに頑張っていますが、いつも技術的なフィードバックに助けられています。分からない部分の質問にも的確に回答していただき、メンバー全員が感謝している次第です。

ひとつだけ申し上げるとすれば、こだわりが強い方なので、どうしても納期が厳しくなってしまうことがあります。最終的に間に合うのですが、納期は早まる一方です。今後は、進捗の遅れについての話し合いや原因の追究が必要だと思います。また、技術とコストとの兼合いについても考え方を共有できればと思います。

開発ツールの活用状況に関するコメントの例

現場の要求を常に把握し、最適な設備をタイムリーに提供される能力が素晴らしいと思います。現場の要求は状況次第で変わるのですが、急な変更にも臨機応変に対応されています。チームメンバー全員、仕事がしやすいと感じており、的確な指示のもとでそれぞれの役割を果たせています。

この姿勢は顧客に対しても同じで、いつも感謝と高い評価をいただいています。ただ能力が高い方なので、説明が必要最低限になり、たまに仕事の全体像が見えにくいことがあります。開発の仕様書はあるのですが、もう少しかみ砕いた説明をいただいた方が、メンバー間の共有もしやすいと思っています。

新しい技術の開発・提案に関するコメントの例

顧客に対する新しい技術の提案は、顧客の要望を聞きながら適切に対応されています。先日も、技術を考えるとコスト的に厳しい案件があったのですが、顧客要求に見合う技術をコストの範囲内で調整し提案されていました。最終的には顧客サイドも納得し、提案は現時点の最適解になったと思います。

ただ、提案が少し強引だと感じるところがあるのも事実です。言われることは間違いではないし的確なのですが、それと顧客満足が一致するかは別だと思います。顧客の要求や営業の事情、そして私たち技術者の考えが全て一致するのは難しいと思います。しかし、だからこそ十分な話し合いが必要ではないかと思っています。

後進へのスキル指導に関するコメントの例

いつも高い意識でプロジェクトを引っ張り、そのリーダーシップは尊敬するばかりです。もちろん高いスキルをお持ちで、過去のプロジェクトを振り返ってみても、技術者としての上司のスキルがなかったら、成功していないケースが多かったのではないかと思います。

今後期待したいのは、私たち後進に対するスキルの指導時間を増やしていただくことです。今も時間はとってありますが、十分とは言えない気がします。というのは、メンバー間で技術的な差が見られるからです。各メンバー頑張りますので、ぜひ後進に対するスキルの指導時間を増やしていただくことを希望します。

関連記事:部下が上司を評価する制度のメリットとは  

最後に

本文でも詳しく解説しましたが、部下が上司を評価する際、最も重要になるのが心理的安全性の高い環境を作ることです。心理的安全性が担保されなければ、部下が安心して評価ができないばかりか、偏った評価が集まり「意味がない」ということになりかねません。

心理的安全性の高い環境を作る方法は様々ですが、部下が上司を評価するノウハウを含めて、専門の調査会社に依頼するのがベターといえます。

リアルワン株式会社は、第一線の研究者が監修する信頼性の高い各種サーベイで、100万人超の利用実績を持つ調査・評価の専門会社です。特に「360度評価」「従業員満足度調査」「エンゲージメント調査」といったサーベイは、実績に基づいた専門ノウハウを提供し高い評価を得ています。

導入に向けては、事前準備から企業様に合わせた設計、説明会の実施や運用、実施後のフィードバックまで、サポート体制も万全です。また、心理的安全性についても、数多い実績を踏まえた独自の方法論で環境整備をお手伝いします

部下が上司を評価する従来とは異なる評価手法を導入し、「組織を活性化したい」とお考えの担当者の方は、ぜひリアルワン株式会社にご相談ください。