従業員満足度調査は匿名?実名?メリットデメリットの比較から解説

従業員満足度調査の回答は、「匿名で実施するのか」それとも「実名で実施するのか」、迷われている実施担当者の方も多いかもしれません。

そこで本記事では、その方向性を「匿名・実名」双方のメリットデメリットの比較から解説していきます。「匿名?実名?」で迷われている実施担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で得られる従業員満足度調査の情報】

・匿名で実施するメリットデメリット
・実名で実施するメリットデメリット
・回答者がバレるリスク
・匿名で実施するのがおすすめの理由
・匿名性を担保する方法と注意点  

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

従業員満足度調査(ES調査)を匿名で実施するメリットデメリット

まずは、従業員満足度調査を匿名で実施するメリットデメリットを解説します。

従業員満足度調査を匿名で実施するメリット

従業員満足度調査を匿名で実施するメリットは、次の通りです。

【従業員満足度調査を匿名で実施するメリット】

・従業員の本音を引き出しやすい
・従業員の心理的負担を軽減できる
・調査に対する安心感を醸成できる

匿名で実施する最大のメリットは、従業員の本音を引き出しやすいことです。匿名性を担保することは、従業員の心理的な負担を軽減し、調査に対する安心感を醸成します

組織に関する厳しい意見、人事や給与、評価制度に関する要望など、匿名にすることで従業員の「本音」が集まりやすくなるでしょう。 

従業員満足度調査を匿名で実施するデメリット

一方、従業員満足度調査を匿名で実施するデメリットとは、どのようなものでしょうか。

【従業員満足度調査を匿名で実施するデメリット】

・回答に対する責任感が希薄になる
・批判的・感情的な回答になりやすい
・個別対応が難しくなる

匿名であるが故に、回答に対する責任感が希薄になりがちです。責任感が希薄になれば、回答が批判的・感情的になりやすい傾向があります

また、回答者が分からないため調査結果に対する個別対応が難しくなります。調査後の聞き取り、フィードバックやフォローアップが行いにくくなることもデメリットでしょう。

関連記事:従業員満足度調査は意味がないと言われる理由とは?

従業員満足度調査(ES調査)を実名で実施するメリットデメリット

次に、従業員満足度調査を実名で実施するメリットデメリットを解説します。

従業員満足度調査を実名で実施するメリット

従業員満足度調査を実名で実施するメリットは、次の通りです。

【従業員満足度調査を実名で実施するメリット】

・回答者が明確になるため無責任な回答が減る
・正確な回答が集まりやすい
・個別対応ができる

実名にすることで、調査に対する責任感が生まれます無責任な回答が減り、より正確な回答が集まりやすくなるでしょう。

また実名のため、調査結果に対する個別対応が可能になります。調査後の聞き取り、フィードバックやフォローアップを行うことで、従業員や組織の課題改善につなげやすくなるでしょう。

従業員満足度調査を実名で実施するデメリット

では、従業員満足度調査を実名で実施するデメリットとは、どのようなものでしょうか。

【従業員満足度調査を実名で実施するデメリット】

・従業員に忖度や遠慮が入る恐れがある
・正確性や透明性が失われた回答になる
・組織と従業員との関係性が悪化する可能性がある

実名の回答によって心理的な負担が増し、従業員に忖度や遠慮が入る恐れがありま。忖度や遠慮が入っては、従業員の本音や率直な意見を吸い上げることができず、正確性や透明性が失われた回答になってしまいます

また、実名で本音を回答したために、組織と従業員の関係性が悪化する可能性があることもデメリットといえるでしょう。

関連記事:従業員満足度が高い職場環境とは?  

従業員満足度調査の回答者がバレるリスク

従業員満足度調査の回答者が「バレる」「筒抜け」になった場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。ここでは、従業員満足度調査の回答者がバレるリスクを考察します

回答者がバレるのは、「実名で回答」する場合、匿名でも「自由記述欄のコメント内容」から回答者が分かってしまう場合従業員同士が「回答内容を共有」する場合が主なパターンです。そこには、どのようなリスクがあるのでしょうか。

【従業員満足度調査の回答者がバレるリスク】

・従業員満足度調査が機能しなくなる
・従業員と組織の信頼関係が失われる
・従業員同士の人間関係が悪化する
・社内コミュニケーションが停滞する
・仕事に対する従業員のモチベーションが低下する

実名で回答するデメリットでも解説しましたが、回答者が分かってしまうことで、回答する従業員に忖度や遠慮が入る恐れがあります。こうなっては、正確な回答が得られず従業員満足度調査自体が機能しなくなってしまうでしょう。

また、回答者がバレることで従業員と組織の関係性が“ぎくしゃく”したものとなり、信頼関係が失われてしまう可能性もあります。関係性は、対組織だけではなく従業員同士の人間関係の悪化を招き、そしてそれは部署間にもおよび、最終的には社内コミュニケーションの停滞を招いてしまう恐れがあるのです。

社内コミュニケーションが悪化した環境は風通しが悪く、その澱んだ空気は仕事に対する従業員のモチベーションを低下させてしまうでしょう

このように、従業員満足度調査の回答者がバレることは、従業員にとっても組織にとっても大きなマイナス要因となるリスクを内包しているのです。

関連記事:従業員満足度調査の目的とは?

従業員満足度調査は匿名で実施するのがおすすめ

従業員満足度調査を、匿名あるいは実名で実施するメリットデメリットを解説すると共に、回答者がバレるリスクを考察しました。ここまでを鑑みれば、「従業員満足度調査は匿名で実施するのがおすすめ」といえます。

その理由は、従業員の本音を引き出すことにあります。従業員から本音を引き出すことは、従業員満足度調査を成功させる根幹をなす部分です

従業員の本音を受け、様々な改善に取り組むことから従業員満足度の向上、そして組織の活性化は始まります。そのためには、匿名性を担保し、従業員の心理的不安を軽減した上で調査を実施することが必須といえるでしょう

もちろん、匿名で実施するデメリットはあります。しかし、デメリットの多くは、従業員満足度調査を実施する「環境作りがうまくいっていない」ことに起因しています

実施環境を整えるには、従業員満足度調査の「実施目的を明確にして従業員に浸透させる」ことが最も重要です。また、個別対応についても「重要な調査項目に自由記述欄を設ける」「別途相談先を設置する」などで十分対応が可能です

全ての従業員が調査に参加する従業員満足度調査では、調査自体に慣れていない従業員が多くなります。そういった従業員の本音を引き出すことができなければ、「従業員満足度調査は意味がない」となりかねません。そのためにはやはり、「従業員満足度調査は匿名で実施するのがおすすめ」といえるのです。

関連記事:従業員満足度を向上させる方法

従業員満足度調査の匿名性を高める方法・注意点

成長

では、従業員満足度調査の匿名性を高めるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、匿名性を高める方法と注意点を見ていきます。

大きなポイントは、従業員の「納得感と安心感の醸成」です。その理由は、従業員満足度調査に対する納得感と安心感の根底には匿名性があり、納得感と安心感の高い環境は匿名性も高いといえるからです

【従業員満足度調査の匿名性を高める方法・注意点】

・制度理解を深める
・運用ルールを明確にする
・調査後の取り組みを充実させる
・従業員満足度調査を専門の調査会社に外部委託する

ひとつずつ詳しく解説します。

制度理解を深める

従業員満足度調査を何のために実施するのか、その目的を全従業員に説明し「制度理解を深める」必要があります。実施方法や調査結果の活用方法、期待する成果など事前に説明会を行い、目的と共に制度理解を深めます。

従業員満足度調査を効率よく進めるためには、調査に取り組む従業員の納得感と安心感が欠かせません。従業員の納得感を高めることが守秘義務に対する理解を深め、匿名性そして安心感を高めることにつながるのです

調査に対して、不安を感じる従業員は多くいます。事前説明会を行い従業員の不安を解消し、従業員の納得感を得られるまで制度理解を深めていきましょう。

運用ルールを明確にする

「運用ルールを明確にする」ことも、納得感と安心感を醸成する上で重要です。従業員満足度調査の運用ルールは、明確に定めましょう。

【明確にすべき従業員満足度調査の運用ルール】

・調査結果の閲覧範囲
・人事考課への紐づけ
・実施回数
・匿名での実施

調査結果を、どの範囲までの従業員が閲覧できるのかを明確にします。また、人事考課に紐づけるのか否か実施回数は1回なのか継続的に実施するのかも決めましょう。匿名での実施は、これまで述べた通りです。

運用ルールの明確化は、従業員の不安を取り除き、納得感と安心感を醸成します。運用ルールを明確にし、従業員に対して周知徹底を図っていきましょう。

調査後の取り組みを充実させる

「調査後の取り組みを充実させる」ことは、従業員の納得感と安心感の醸成に極めて有効です。調査後の取り組みとは、調査結果の報告会やフィードバック、フォローアップ研修といったサポートのことです。

アフターフォローの環境を整備してこそ、従業員満足度調査に対する従業員の納得感と安心感が高まります。従業員満足度調査は、「やりっぱなし」では意味がありません。調査後の取り組みは、従業員満足度調査の実施とワンセットで考えるべき施策なのです。 

従業員満足度調査を専門の調査会社に外部委託する

従業員満足度調査を専門の調査会社に外部委託することは、匿名性を高める上で最も効果的な方法です

匿名性を意識し、従業員満足度調査を自社で行うことは不可能ではありません。しかし、実施する担当者の「時間的」な負担、そして匿名性をはじめ制度全体の「ノウハウ的」な問題をどうクリアするのかは、大きな課題です。特に匿名性の維持は、極めて難しい課題でしょう。

この課題をクリアするためにも、従業員満足度調査を専門の調査会社に外部委託することをおすすめします。確かに費用は発生します。しかし、従業員満足度調査を効率的かつ効果的に進め、実施担当者の「時間的・ノウハウ的」な課題をクリアするには、やはり専門の調査会社に依頼することがベターな選択といえるのです。

関連記事:従業員満足度調査を外部委託する際のポイント

最後に

従業員満足度調査(ES調査)を「匿名で実施するのか?実名で実施するのか?」について、双方のメリットデメリットの比較から解説しました。本文でも述べた通り、従業員満足度調査は匿名で実施すること、さらには専門の調査会社に外部委託することをおすすめします

リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。信頼性・妥当性の担保された従業員満足度調査、各種サーベイは、100万人超の利用実績を持ち、50人程の企業から4万人超の大企業まで、業界や業種を問わず活用されています。

導入にあたっては、事前準備から実施・運用、そして調査後の取り組みまで、専門スタッフがトータルでサポート匿名性への配慮も万全です。匿名性を担保し、従業員満足度調査を効率的かつ効果的に実施したいとお考えの担当者の方は、ぜひリアルワンにご相談ください。

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