OJTとOFF-JTの違い 割合や組み合わせ、メリット・デメリットを解説

ここ数年、コロナ禍の影響でオンライン化が加速し、リモートワークでの業務も一般的になりました。そんな状況下で、OJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成方法を推進する企業も増えています。これまではOJTを主流にしていた企業も、オンラインによるOFF-JTに移行するケースも多いようですので、自社の施策の参考にしていただければと思います。

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

OJTとOFF-JT 今、主流な効果的な活用方法とは

ここでは、OJTとOFF-JTの違い、メリット・デメリットなどを紹介します。今後の人材育成の効果的な活用方法として、お役立てください。

OJTとOFF-JTの違い

『OJT』とは、On-The-Job Trainingの略で、働く現場で実践的にトレーニングしながら、仕事を覚える教育手法のことです。
詳しくはこちら>> OJTとは? 制度の目的や具体例、メリット・デメリットを解説

『OFF-JT』とは、Off-The-Job-Trainingの略で、現任訓練のOJTとは異なり、完全に実務を離れて、座学などで知識を身につける育成方法です。OJTとよく比較されますが、大きく違う点は、実務で能力の開発をするか否かになります。

OJTの研修イメージは、実際に業務をする現場の先輩がOJTトレーナーとして選ばれ、実践でトレーニーを育成していきます。取り組み方の違いは経営陣や人事、現場の上司も一体となって進めている場合もあれば、OJTトレーナーに一任されているケースなど様々です。

OJTはOJTトレーナー個人の能力で行なわれることが多く、トレーニーと一対一の研修スタイルになります。期間は2週間から3カ月と業界や職種によって違い、比較的、長期的なタームで実施。OJTに積極的な企業では、段階ごとに継続していくパターンも増えているようです。

一方、OFF-JTはアウトプット型のOJTとは違い、インプット型の学習が中心になります。業界やビジネスの原理原則や企業理念、プロジェクトの全体像、任せる業務の役割、実務知識を体系的に習得する研修スタイルです。OFF-JTの手法には何種類かあり、アウトソーシングで外部講師や専門会社を使う企業も増えているようです。

次は、OFF-JTの種類や手法を見ていきましょう。

OFF-JTの種類や手法

これまでのOFF-JTだと、『集団での机上の学習』といったイメージを思い浮かべる方も多いかもしれません。けれど、昨今の激しい環境変化、急速なオンライン化やAIの発展により、OFF-JTのやり方にも変化が見られます。

現在、トレンドとされているOFF-JTの種類や手法は次の4つです。

  1. OFF-JT シミュレーション型集合研修
  2. OFF-JT e-ラーニング&オンライン講座
  3. OFF-JT アウトソーシング講座
  4. OFF-JT ハンズオン研修

1.OFF-JT シミュレーション型集合研修

集合研修は、ディスカッションやグループトーク、グループワーキングに向いている手法です。集団のトレーニーに対して、数人のトレーナーが講義形式で同レベルの知識を習得させることができ効率的とあって、これまでOFF-JTの場では集合研修が主流とされてきました。けれど、最近は座学をオンライン講座などで自己学習ができるようになったため、集合研修では身につけた知識をシミュレーションしてみる場として活用する企業も多いようです。

2.OFF-JT e-ラーニング&オンライン講座

e-ラーニングやオンライン講座は、パソコンさえあればトレーニーの受けたい時間に場所を指定されずに受講できるのが特徴の一つです。移動時間や一定の場所に縛られず、効率的でコストを掛けずにできるOFF-JTとして定着しています。オンライン上で配信される研修用の動画は一度作ってしまえば、何度でも使用できるためトレーナーの負担も軽減。チャットなどで講師に直接質問もできるため、オンラインとはいえ集合研修と変わらない学習効果が期待できます。

3.OFF-JT アウトソーシング研修

OFF-JTの種類はスタートアップとしての新人研修にはじまり、コンプライアンスやマナー、マインドまで多岐に渡ります。大きくは、階層別研修、職能別・課題別研修、専門的研修、目的別研修の4本柱で構成されるのが一般的。これだけの専門的な研修を社内で実施するだけの時間や人材の不足、トレーナーの指導力が不十分なことなどから、外部へアウトソーシングする企業も多いようです。専門的な知識を持ったプロから講義を受ければ、自社で研修を行うより高い効果を得られることもあります。

4.OFF-JT ハンズオン研修

ハンズオン(Hands-on)とは、体験学習を意味する教育用語で、参加体験、実用的体験、インタラクティブ体験、実習、実験などを体感する補助教育の手法です。OFF-JTの場では実際に作業や操作などを行いながら、特殊技術や最先端技術などをトレーナーから実技指導を受ける際に活用される場面が多く見られます。例えば、システム化されてない業務の効率化、システムの操作性の向上やメンテナンスといった実務に役立つOFF-JTで、専門知識と共にスキルも身につくのが特徴です。

OJT&OFF-JTメリット・デメリット

ここでは、OJTとOFF-JTに見られるメリット・デメリットを紹介します。OFF-JTはOJTとは違い、座学のほかにも業務に大切な基礎知識やノウハウが体系的に学べ、トレーナーの指導力により育成度合い差が少ないのはメリットの一つ。その反面、OJTに比べるとOFF-JTは、コスト面や育成に時間がかかるといったデメリットもあります。両者の良い点、悪い点をしっかり把握し、人材育成のツールとしてバランスよく組み合わせて取り入れるのが大切です。

OJT導入のメリット・デメリット

OJTは、OFF-JTとは違い実践でOJTトレーナーが一対一でトレーニーを育成していく手法です。人手不足が騒がれる昨今、即戦力が図れる研修としてOFF-JTよりポピュラーとなっているOJT。ここでは、導入した際に見られる、メリットとデメリットを紹介します。

OJT導入のメリット

OJT導入のメリットは、OJTトレーナー、トレーニー、企業や人事の3者の立場によって違います。

それぞれのメリットは次の通りです。

●OJTトレーナーのメリット
OJTトレーナーのメリットは、自身の指導スキルや育成スキルの向上が図れる点です。新人、部下の教育や育成は容易ではありませんが、業務の目的や方法、もたらす成果などを改めて学習し理解度を深められます。

●トレーニーのメリット
トレーニーのメリットは、OFF-JTとは違いOJTの場合、OJTトレーナーから直接指導を受けながら成長できるところです。OJTの訓練中は、分からない点を直接確認することができ、フィードバックを受けられるので実践でしか身につけられない教育効果が養われます。

●企業や人事のメリット
企業や人事のメリットは、OFF-JTとは違い研修費用や人事業務のコスト削減ができる点です。実際の現場で業務をしながら教育を行うOJTは特別な場所や時間、外部の研修やセミナー費用を捻出する必要がありません。即戦力となる人材育成ができるのもメリットになります。

OJT導入のデメリット

OJTは多様なメリットを生み出す一方で、デメリットも存在します。メリットと同様に、デメリットも3者の立場による違いを見ていきましょう。

● OJTトレーナーのデメリット
OJTトレーナーはOJT研修だけに専念できるわけではなく、通常の業務に加えてトレーニーの訓練をしなければなりません。定めた期間までに目標のレベルへ育て、業務効率を上げるミッションも託されます。そのため、OJTトレーナーがプレッシャーを感じてしまう、業務過多に陥り実務が滞るといった点はデメリットになるでしょう。

●トレーニーのデメリット
OJTは体系的に学べないため、 OJTトレーナーのスキルによって成長レベルに差がでてしまう点がデメリットになります。また、目先の業務は熟せるようになっても、専門的な知識、プロジェクト全体の役割、目標達成に向けたモチベーションの持ち方までは教育されることは少ないようです。

●企業や人事のデメリット
企業や人事にとってのデメリットは、OJTによりOJTトレーナーの実務が滞ってしまう点です。OJTの実施により、生産性が低下し残業が増え人件費が増してしまうようでは、コストパフォーマンスが悪く会社とっては大きなデメリット。人事は長期的なOJTの施策がされていなかったと評価されてしまいます。
関連記事: OJTとは? 制度の目的や具体例、メリット・デメリットを解説

OFF-JT導入のメリット

OFF-JTを有効的に運用すると、次の4つのメリットが現れます。

メリット1:体系的な知識やスキルの習得
メリット2:指導力に依存しない効果の均質化
メリット3:トレーナーの負担軽減
メリット4:トレーニー同士のつながりの構築


では、それぞれのメリットを見ていきましょう。

メリット1:体系的な知識やスキルの習得

OFF-JTの第一のメリットは、体系的に学べる点です。現場ですぐに使うスキルだけでなく、その作業はどんな意味をもつのか、現場での業務の役割はどんなことか、自分の仕事は会社にどんな貢献ができるのか。といった点を論理的に系統立てて学んでおけば、実務についたときのモチベーションが違うはずです。先に、多様な知識を整理して基礎を作っておくことで、職務に対する理解が深まり現場での自立的な行動や客観的な対応ができるようになります。

メリット2:指導力に依存しない効果の均質化

OFF-JTは、教育されたトレーナーが講義形式で集団のトレーニー向けて実施されるので、個人の指導能力に任せることなく均質的な育成ができるのもメリット。これまでは、同じ場所で一斉に実施する講習やディスカッションの場として活用されていました。ただ、最近はオンライン化が進んできたため、座学はトレーニーの空いている時間に自己学習をするパターンも増えています。e-ラーニングで同じ内容の動画を見て学習するケースも多く、基礎知識やスキルの均一的な発信が可能です。

メリット3:トレーナーの負担軽減

OFF-JTの場合は複数のトレーニーを少人数のトレーナーで研修ができるため、効率的に人材育成が図れるのもメリットです。特に、トレーナーが通常業務に追われてOFF-JTの準備をする時間の余裕がない、指導力のある人材が不足している、OJTのように一人ひとりに労力を掛けられないといった状況下では有効的でしょう。また、企業のパーパスやビジョン、社員の志や価値の統一を図りたい際にも一斉に共有でき、コミュニケーション労力の軽減が可能です。

メリット4:トレーニー同士のつながりの構築

配属先が違うと社員同士の横のつながりを構築するのは、なかなか難しいものです。OFF-JTでは座学で身に付けた知識を駆使してディスカッションやシミュレーションを行う場合もありますから、トレーニー同士の交流が深まります。OFF-JTのプログラムを通じて意見交換を活発に行なえば新たなコミュニケーションが生まれ、モチベーションの向上や社内の活性化も期待できます。部署間を越えた情報交換などで刺激をしあうこともあるでしょう。こういった関係構築はトレーニーとっては大きなメリットです。

OFF-JTでありえるデメリットとは

OFF-JTは基礎知識を体系的に学べる反面、その裏側がデメリットになってしまう点もあります。

よく見られる事例が、次の3つです。

デメリット 1 :即戦力化が測りにくい
デメリット 2 :モチベーション醸成が困難
デメリット 3 :育成に時間やコストがかかる

それぞれの、デメリットも見ていきましょう。

デメリット1:即戦力化が測りにくい

OFF-JTのデメリットは基礎知識やスキルを講習で習得したものの、実践ではないため現場ですぐに即戦力として活用ができない点です。講習内容は必ずしも日常業務に直結するとは限らないため、即効性は期待できません。OFF-JTは長期的な育成・成長を目指すため、研修成果が現れるまでには時間を要します。これが、OFF-JTの大きなデメリットでしょう。

デメリット 2 :モチベーション醸成が困難

OFF-JTの必要性を人事やトレーナーが認識していたとしても、トレーニーのモチベーションが低いままでは研修効果の期待は当然できません。OFF-JTの講習は受け身になりがちなプログラムが多いため、トレーニーの意識の高さが重要です。トレーニーがやらされていると感じることのない場づくりも、大切なことになります。

デメリット 3 :育成に時間やコストがかかる

OFF-JTは、OJTとは違い通常業務とは別に教育の時間を作らなければなりません。OFF-JTを実施している期間は、トレーナーやトレーニーの通常業務が停滞し、生産性が下がるのは企業にとってのデメリットです。また、OFF-JTをアウトソーシングにする場合はコストもかかります。OFF-JTの実施に当たっては、かけた時間やコストに見合う成果を見込んでおきしましょう。

OJTとOFF-JTの組み合わせが成功のカギ

人材育成を成功に導くためには、OJTとOFF-JTそれぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで、バランスよく組み合わせていくのがキーポイントになります。

ここでは、OJTとOFF-JTを上手に取り入れながら、人材育成を有効に進めるためのポイントを見ていきましょう。

『4:2:4の法則』で研修効果を最大化

『4:2:4の法則』とは、ロバート・ブリンカーホフ教授が発表した、研修の成果に影響を与える因子の割合を法則化したものです。この数字が、研修の成果に影響を与える因子のバランスを示します。

具体的には…、

  • 研修前の意識や動機づけ=4割
  • 研修自体のプログラム内容=2割
  • 研修後の学習やレビュー=4割

この割合を読み解くと、トレーナーは研修前にどれだけモチベーションを向上させるか、トレーニーはフィードバックを消化するためにどのように事後学習をするかが重要。プログラム内容は、成果に直結するわけではないということでしょう。

この法則を参考に人材育成を運用するのであれば、まずはOFF-JTで「トレーニーに人材育成を実施する目的を理解させ、高いモチベーションがキープできる状態にしておきましょう。その後、座学で習得した知識やスキルをOJTで実践していきます。現場でフィードバックを受けることで、トレーニーは学びを最大化できます。

OJTとOFF-JTを組み合わせ、PDCAとUCRを繰り返す

OFF-JTで習得した知識やスキルをOJTで実践、フィードバックを受けたらOFF-JTで学んだ実務知識を復習し再び実践。といったようにOJTの場でPDCAサイクル、Plan→Do→Check→Actionを回しながらスキルアップしていくのも、人材育成を成功させるためのポイントです。

また、OFF-JTやOJTの場では、トレーナーやトレーニーが変革を起こせるか否かが重要になります。 クルト・レヴィンが提唱した変革の3つのプロセス『UCR』は、OJTとOFF-JTの場面で、両者の意識づけにも有効的です。

UCRはUnfreeze(解凍)、Change(変革)、Refreeze(再凍結)の頭文字をとった造語です。レヴィンは組織の変革には、従来の方法や価値観を壊す=解凍→新たな方向性を提示=変革→実現に向けたアクションを決定=再凍結。という3段階のプロセスが、必要であるとしています。

最初のフェーズ、解凍はOFF-JTの座学の場とし、トレーニーがこれまで持ち合せてきた習慣や意識などを忘れさせ、新たな組織での働き方や理念を習得させます。

次の変革は、新たな社内文化や業務プロセスを学習するフェーズです。OJTで実践しながら、それぞれが担う役割や実務を習得していきます。

再凍結では、1と2のプロセスで学び習得したことを、OJTで定着させ習慣づけをしていくフェーズになります。これにより、身についた知識やスキルを持続可能にして、さらなる成長へとつなげていけます。

OJTとOFF-JTは相反するメリットやデメリットが存在し、やり方もそれぞれの方法があります。アウトプットが主となるOJT、OFF-JTはインプットの作業が多くなりますが優秀な人材の土台づくりに欠かせません。OJTとOFF-JTの場を上手に使い分けて、PDCAを回しUCRのステップを踏んでいくことが、成功の秘訣になるでしょう。

SDの組み合わせでより優れた能力開発が可能

女性スタッフ

OJTやOFF-JTと並んで、人材育成の手法として取り入れられているものに、『SD(Self Development:自己啓発)』がありますSD自己啓発は、本来であれば自らの意志や意欲で目的を決め、学ぶ費用も自分で負担して行うものです。ただ、最近は約8割の企業が社員の自己啓発を支援していると、厚生労働省は発表しています。
企業のなかには、『SDS(Self Development System:自己啓発支援制度)』を設け、OFF-JTやOJTとの組み合わせで、能力開発を目指すところも増えています。

次の4つが、自己啓発の援助の例になります。

  1. 金銭的援助:能力開発のための本やイーラーニング、講習会・セミナーなど自己啓発にかかる費用の援助
  2. 時間的援助:勤務時間内に講習会・セミナーなどの受講を許可。資格試験の日は有給扱いなどの時間面の援助
  3. 場所の提供:勉強会や講習会を開催する際、自社の会議室の提供
  4. 情報の提供:社員への自己啓発に関する情報提供

なぜ、会社はここまでして自己啓発を推奨するのでしょう。これまでも企業は、OJTやOFF-JTなどさまざまな施策をしてきましたが、トレーニーとっては、受け身のスタイルで自らが望んでいたわけではありません。一人ひとりが自発的に学びたいというモチベーションを強く持ち実際に行動へと移すことが、能力開発には非情に重要だと気づいたのでしょう。

OJTやOFF-JTのように一定時期に実施される研修とは違い、能力開発をタイムリーに進めていけるSDS自己啓発支援制度は、会社や社員にとってのメリットになります。企業によっては、人事評価の項目などにSDS自己啓発支援制度を組み込み、社員の動機づけを図っているようです。

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